職場という視点から、日本の大学と一般企業を比較すると、組織運営のやり方、ルール、なにより常識が大きく異なっています。一般企業の従業員から(とくに文系の)大学教員に職業を変えた人は、その違いに驚くことになるでしょう。メガバンカーから大学教授となり、現在は経済評論家として活躍する塚崎公義氏が、職場としての一般企業と日本の大学を比較しながら、実情をユーモラスに紹介します。※本記事は『大学の常識は、世間の非常識』(祥伝社)の内容の一部を紹介したものです。 企業から大学に転職すると、そこは別世界だった企業から大学に転職すると、「天国のような職場だ」と感じます。少なくとも私はそうでした。その最大の要因は「上司がいない」ことにあるでしょう。 学部長や学長は、名目上はともかく、実質的には上司ではありません。学部は商店街、学部長はその世話係、といったイメージでしょうか。あるいは一国一城の主たちが同盟を結び、