アルシュ・サミット(1989年)があった直後、パリに行った。 ”新しい凱旋門”とも呼ばれるグランド・アルシュ(グランダルシュ)は、厚いガラスと大理石でおおわれた門の形をした白亜のビルだが、一辺の長さ110メートル、その中にはノートルダム大聖堂が、尖塔ともどもすっぽり納まってしまうほどの大きさだ。両側は35階建て、上の桁(けた)の部分でサミットが開かれたのである。 ビルの林立する新宿のような副都心に小高い丘を築いてアルシュを作った。 だから長い長いエスカレーターで登ってゆく。初めは丘の中で薄暗く、だんだん明るくなり、青空が見え、顔が地上に出ると、広場の向こうに白く輝くアルシュが見えた。 そのとき、僕の首、肩、腕が、ジーンと強くしびれた。よほどの感動である。あとは吸い寄せられるようにアルシュ広場の上をフラフラフラと歩いていた。 近づくにつれ顔が上向き、グランド・アルシュが僕の視界いっぱいになっ
![ありがとう アルシュ - サトウサンペイの「ジーの思い出し笑い」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/5713c9cd38822fa883b9e12b7a54ccf6d8f869e9/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fp%2Fpanojikara%2F20120320%2F20120320222608.jpg)