イル・ド・フランスの白い一本道 パリに行ったとき、朝日新聞の文化特派員だった根本長兵衛さんにドコカを案内してもらうことになった。心の温かいユーモアのある人だ。編集委員や論説委員もされ、「企業メセナ」の初代専務理事となり、文化交流にたいへん貢献された。僕より3,4歳年下、今年1月4日に逝去された。 あのころは僕も若くて元気だった。根本さんが「まだ見ていなければ、シャルトル大聖堂がおすすめ」と言われた。 パリから南西に80キロ。根本さん運転のクルマで行く。パリ市街を出るとすぐ、イル・ド・フランスの広大な緑と黄色の畑となり、これが果てしなく続く。フランスは農業国だ。エッフェル塔とムーランルージュだけでは気がつかぬ。 お天気はいいし、助手席でぐっすり眠りこんでいると、肩を小突かれて起こされた。白い一本道の先、丘の頂上に何かポツンと尖った物が2本現れ、やがてその全容を現す。「ワーッ! でっかーい!」