土呂久(とろく)の公害患者で佐藤慎市さんの叔母の、佐藤アヤさんの歌を、時々読み返します。心を鷲掴みにされたようになります。決して彼女の存在を、彼女の苦しみを、彼女が生きたということを忘れないぞと思います。佐藤アヤさんの歌です。 ・我が疾病(やみ)を砒素中毒と切り離し低額迫る行政に泣く ・山咲の花も豊かな故さとに何時の日かえる土呂久の村よ ・夜の間にどんどん燃やす毒煙 土呂久の村は雲海の如く ・あれ程に煙害散らしおきながら害少しとうそぶく彼等 ・梅の香も未だ匂わぬ春浅く朝膳運ぶ手に力なし ・今一度生まれ変わりて来る時は汚染なき地に生を受けたし ・来世に我も嫁ぎて妻となりて母ともなりてみたしと思う 写真は、土呂久山荘。アヤさんの甥っ子の佐藤慎市さんと川原一之さんが地域を案内してくださり、妻のマリ子さんが語ってくださり。夕飯にいただいた、慎市さんが捕らえたイノシシの味をいまも思い出します。その夜