本日の日経新聞「経済教室」で、伊藤隆敏氏がインフレ目標政策について論じている。多くの方々の目にとまった記事ではあるだろうけれども、備忘録の意味をこめて内容をご紹介しよう。 伊藤氏はまず、2008年9月以降の金融危機に対応するため、欧米各国が中央銀行のバランスシートを急激に拡大させたこと、そしてその際、望ましいインフレ率として2%近くを意識していたことを指摘する。日銀、欧州中央銀行(ECB)、FRBはインフレ目標政策を公式には採用していないが、望ましいインフレ率については、ECBは「2%以下だが、2%に近い数字」、FRBも「1.5〜2%」とだいたいおなじ数字をあげている。日銀は2009年12月に「中長期的な物価安定の明確化」として「CPIの前年比で2%以下のプラス領域にあり、委員の大勢は1%程度を考えている」と発表した。 しかし、いまやインフレ目標政策には「その限界がみえた」との批判がある。