ここ数年、中学受験の実情を肌で感じて驚いたことがある。ゆとり教育という言葉の印象とは裏腹に、受験に臨もうとする小学生に求められる知識は筆者の時代よりもはるかに広く深い。確か高校で習った「滑車・輪軸」「フィボナッチ数列」、最近になって初めて聞いた「金星の満ち欠け」などが中学入試で出題されるのだ。感心する一方で、「そんな知識に何の意味があるの?」というのが正直な感想でもある。もっと他に必要な知識があると言いたくなった。 この出来事を通して改めて考えたのは、実社会に出るまでに身につけるべき「リテラシー」だ。リテラシーとは英語の「literacy」で、直訳すると識字の意味である。読み書きなど社会生活を送る上で必要最低限の教養ということだ。最近は「ITリテラシー」という言葉がよく使われ、これはPCやネットを使う基礎的な能力を指す。これだけ情報化社会が進めば必須の知識といえるだろう。 実社会に出るまで