日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載です。今回は、河川改修工事のためまもなく姿を消す、岡山県倉敷市にある戦国時代の山城・南山城です。 洪水防止の河川工事で消滅へ 残念ながら、まもなく消滅する戦国時代の山城がある。岡山県倉敷市の、高梁(たかはし)川と小田川の合流点を見下ろす丘陵上にある南山城だ。小田川の流れをスムーズにするため、南山城は山ごと削られる。「平成30年7月豪雨」で甚大な被害が出た地域だけに、河川の付け替え工事は最優先事項だが、小田川合流点付け替え事業に伴い2017年から行われていた本格的な発掘調査によって、戦国の城の姿が明らかになっている。 まず、この城の立地がたまらない。南山城は備中国(岡山県西部)の南東部にあり、戦国時代に備中南部の重要な拠点のひとつだった猿掛城(岡山県矢掛町)の東方にある