『ルパン三世 カリオストロの城』公開の段階で、宮崎駿の知名度は低いものだった。勿論、東映長編時代からのアニメーションファンや、業界に近いところにいる人は彼の事をよく知っていただろうが、若いアニメファンの多くはその名を意識していなかったはずだ。当時、アニメ好きな中学生であった僕もその1人だ。 理由はある。宮崎駿はそれまでに監督的に参加した作品があっても、監督としてクレジットされた事がなかった。シリーズ途中から高畑勲と共に監督を務めた『旧ルパン』にしても「演出/Aプロダクション演出グループ」と表示されているだけで、彼の名はない。『未来少年コナン』でのクレジットは監督ではなく「演出」だ。『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』での役職はレイアウトや画面設定であって、当時のファンには、その仕事の凄さが分かっていなかっただろう。東映長編時代の作品も同様だ。『未来少年コナン』や『カリ城』に関して