1976年、田中角栄元首相が受託収賄と外国為替・外国貿易管理法違反の疑いで逮捕された。日本の政財界を揺るがしたロッキード事件である。 当時も今も、この事件は田中元首相をつぶすための米国の謀略工作だったとする主張が出回っている。だが、当時ロッキード事件の取材を統括した毎日新聞の元社会部長が、事件から40年目にして改めて「米国謀略説」を否定する論考を発表した。 発端は米国議会の公聴会での暴露 ロッキード事件とは、田中首相(当時)が米国の航空機メーカー、ロッキードの代理店である商社、丸紅の請託を受け、全日空にロッキードの新型旅客機である「トライスター」の選定を承諾させ、その謝礼として5億円を受け取ったとされる受託収賄罪事件である。 1976年2月に米国議会の公聴会で明るみに出て、同年7月に田中前首相が逮捕された。その後の裁判では田中被告の有罪判決が出たが、事件は最高裁判所にまで持ち込まれ、結局、