「台湾でうまくいっているからといって、台湾のやり方をそのまま持ち込めるわけではないということを、私たちはつねに自分たちに言い聞かせている」。TSMCアリゾナ工場で社内広報と従業員関係の責任者を務めるリチャード・リューはそう語った。 最近行った取材では、幹部を含むTSMCの従業員12人が、台湾人管理職とアメリカ人従業員の文化的な衝突が双方の不満につながっていると明かした。TSMCの働き方は過酷なことで知られる。真夜中に緊急の呼び出しがかかることも珍しくない。 フェニックスでは、従業員に期待される働き方をめぐって意見の対立が先鋭化し、何人かのアメリカ人従業員が辞めたという。この件について語った従業員の一部は、公に話す許可を受けていないため、記事では匿名扱いとするよう求めた。 工場の稼働日を延期している同社は現在、アリゾナでの半導体生産を2025年前半に開始する予定だと述べている。 アリゾナの工
米共和党のペンス前副大統領は21日のワシントン・ポスト紙(電子版)に寄稿し、中国が統一圧力を強めている台湾への支援を軽んじるトランプ前大統領の発言について、「世界における米国の役割に対する危険なほどの狭い理解と、米国の離脱がもたらす広範囲にわたる影響への無知を反映している」と酷評した。 寄稿は、ペンス氏と保守系シンクタンク「ヘリテージ財団」の創設メンバーであるエド・フルナー氏との連名によるもの。 トランプ氏は、米ブルームバーグ通信が7月に公開したインタビューの台湾防衛に関するやりとりの中で、米国と台湾は約1万5290キロ離れているが、中国から台湾は約110キロだと指摘。「我々は保険会社のようなものだ。台湾は我々に防衛費を支払うべきだ」などと不満を示した。
7月17日、 トランプ前米大統領の安全保障アドバイザーを務めるロバート・オブライエン氏は台湾は中国が侵攻する事態に備えて防衛費を大幅に拡大する必要があるとの見方を示した。写真は高雄沖で演習を行う台湾海軍の作業船。1月撮影(2024年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins) [ミルウォーキー 17日 ロイター] - トランプ前米大統領の安全保障アドバイザーを務めるロバート・オブライエン氏は17日、台湾は中国が侵攻する事態に備えて防衛費を大幅に拡大する必要があるとの見方を示した。 米大統領選共和党候補となったトランプ氏は、16日に公表されたブルームバーグ・ビジネスウィークのインタビューで「私は(台湾の)人々をよく知っており、彼らを非常に尊敬している。彼らはわれわれの半導体ビジネスをほぼ100%奪った。台湾は米国に防衛の対価を払うべきだと思う」と語った。 オブライエン氏はこのトラ
ジャーナリスト。アジア・ビズ・フォーラム主宰。上海財経大学公共経済管理学院・公共経営修士(MPA)。およそ15年滞在した上海で情報誌創刊、“市井の息遣い”から時代の変遷をウォッチ。「中国取材はデッサンと同じ。あらゆる角度から取材して光と影で実像をつかむ」を持論に30年近く中国に向き合う。近年は中国からの人や資本の流入をフォロー。ダイヤモンド・オンライン「ChinaReport」は10年を超える長寿コラム。 著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、『インバウンドの罠』(時事出版)『バングラデシュ成長企業』(共著、カナリアコミュニケーションズ)、『ポストコロナと中国の世界観』(集広舎)ほか。内外情勢調査会、関西経営管理協会登録講師。宅地建物取引士。3匹の猫の里親。 China Report 中国は今 90年代より20年超、中国最新事情と日中ビジネス最前線について上海を中心に
台湾の蔡英文総統(写真中央)は、中国と戦争が勃発すれば米軍機で逃亡するつもりで、軍事演習はそのリハーサル───こうした根も葉もない話が中国政府系メディアによって台湾にもたらされていたことが、NGO(非政府組織)台湾情報環境研究センター(IORG)の調査で明らかになった。写真は2月、新竹市の軍基地で撮影(2024年 ロイター/Ann Wang) Yimou Lee James Pomfret [台北 1日 ロイター] - 台湾の蔡英文総統は、中国と戦争が勃発すれば米軍機で逃亡するつもりで、軍事演習はそのリハーサル───こうした根も葉もない話が中国政府系メディアによって台湾にもたらされていたことが、NGO(非政府組織)台湾情報環境研究センター(IORG)の調査で明らかになった。 ロイターが委託した調査では、2021年から今年1月の台湾総統選までの間に、台湾の年次軍事演習「漢光」を含む訓練を巡り
<JASMが提示した「大卒で28万円」という破格の初任給が話題だが、tsmcは日本を単なる下請けと見ているわけではない。本誌「tsmcのヒミツ」特集より> 世界の最先端半導体生産の圧倒的シェアを占める台湾企業TSMCの熊本工場が、2月24日に始動した。AIやEV、次世代通信に欠かせない半導体は戦略物資として各国が生産と確保にしのぎを削る。なぜTSMCは世界をリードするトップ企業に成長したのか。日本への工場進出はその戦略上どんな狙いからなのか。台湾人ジャーナリストでTSMC取材歴30年の林宏文(リン・ホンウェン)氏の著書『tsmc 世界を動かすヒミツ』(CCCメディアハウスから3月22日刊行)から、そのヒミツを探る。 TSMC熊本工場のヒミツ 熊本県菊陽町は人口4万人ほどの小さな町だ。2022年の春、半導体工場の建設がこの地で始まったことで、菊陽町は一躍脚光を浴び、工業用地の地価だけでなく、
日本と自衛隊が抱える課題 日本政府は今年(2023年)1月、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額することを決めた。特定の官庁の予算が、これほど短期間のうちに二倍近くになった例は戦後初めてのことだろう。昨年12月には、防衛力強化に向けた「国家安全保障戦略」など三つの文書が改定され、反撃能力を含む防衛力の抜本的強化を実施していくこととなった。 いずれも、戦後日本の防衛政策における大転換といえる決断といっていいだろう。政府だけでなく、危機感をもっていた国民のあいだにも安全保障に対するある種の安心感が生まれつつあるように見える。だが、はたしてこれだけでよいのだろうか。 今回の防衛費増額においては、「総合的な防衛体制の強化に資する経費」という新たな概念が打ち出されたのが特徴といえよう。防衛費以外の予算――たとえば、海上保安庁予算(国交省)、防衛に役立つ研究開発費・公共インフラ整備費
台湾積体電路製造(TSMC)が半導体業界のトップに立つきっかけとなったのは、アップルとの大口契約だった Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images
フランスのマクロン大統領が緊張の高まりが懸念される台湾情勢に関して「最悪なのは、アメリカや中国に追随しなければいけないと考えることだ」と述べ、米中の対立から一定の距離を保つべきだと主張した発言をめぐって波紋が広がっていて、閣僚が釈明に追われる事態となっています。 今月中国を訪問し習近平国家主席と会談したフランスのマクロン大統領は、フランスの経済紙「レゼコー」などが9日に報じたインタビューのなかで、台湾情勢に関して自身の見解を述べました。 この中で大統領は「最悪なのは、台湾の問題についてアメリカの歩調や、中国の過剰な反応に合わせヨーロッパの国々が追随しなければいけないと考えることだ」と述べました。 そのうえで「陣営間の対立の論理に立ち入ることは望ましくない」と述べ、ヨーロッパは、米中の対立から一定の距離を保ち、世界の「第3極」になるべきだと主張しました。 この発言をめぐっては、欧米の有力メデ
経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)がグローバルパートナーとの出資を含む提携を模索するなか、「今こそ、ディスプレイ事業における『大日の丸連合』の結成が必要だ」と、シャープ 上席常務 ディスプレイデバイスカンパニー社長の桶谷 大亥氏は話す。 桶谷上席常務が理由の一つとして挙げるのが、過去の液晶ディスプレイ産業における失敗だ。台湾、韓国への技術流出が、日本の液晶ディスプレイ事業全体の競争力を弱めた経験から、二の鉄を踏まないことが大切だと話す。そして「大日の丸連合」と呼ぶ言葉には、単にパネルメーカー同士の提携に留まらない大きな意味を込めている。果たしてその意味とはなんなのか。 前回も触れたように、1997年のアジア通貨危機が発端となり、韓国経済は「超ウォン安」という市場環境に陥った。しかし、韓国のサムスン電子やLG電子にとっては、輸出ビジネスへの大きな追い風となり、液晶パネル事業と液晶テレ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く