前2回(『バター不足の怪。牛乳やチーズは山ほど売ってるのに、なぜ?』『バター不足は農水省による「チーズの作らせ過ぎ」が原因』)では、バター不足が生じる下地ともいえる農水省の補助金制度について説明したが、今回は国産バターの不足を補うことができない、特殊なバターの輸入制度について、農業ジャーナリストの浅川芳裕氏が解説する。 「常日頃から国産、外国産を問わず、仕入れルートや商品ラインナップを多様化して消費者ニーズに応えることで、小売り・食品業界は成り立っています。それが先進国における豊かな消費生活の前提です」 そう語る浅川氏は、それを阻害しているのが農水省の天下り団体「農畜産業振興機構」によるバター輸入業務の独占だとする。 輸入バターには特殊な関税割当制度が適用されていて、一定の輸入量までは一次税率(関税35%)が課せられ、その枠を超えると二次税率(関税29.8%+1kgあたり179円)が課せら