好きな色のことを、考える。 日常的に使うものや服の色などは、皆自分が好きだったり似合う色を選ぶのではないだろうか。 子どもの時分、私には特別だと感じる色があった。水色とピンクだ。 色鉛筆というのは大概類似色の順に並べられているものだが、私はその二色を隣同士に並べていたし、減ってしまうのが勿体無くて、躊躇しながら使っていた。 何故そんなにもその二色を気に入っていたかというと、私にとってそれは、お姫様と王子様の色だったから。 色鉛筆を取り出す度に、水色の王子様とピンクのお姫様が出会う物語を空想して遊んでいたのを今でも覚えている。 しかし、そんな私の心を傷つける出来事が起きた。 忘れもしない小学一年生の学芸会のこと。いろんな色がキャラクターとして登場する劇をやることになったのだ。 もちろん私の大好きな水色とピンクも配役にある。両方好きだからどちらかやれればと、迷わず立候補した。 だが小学一年生に
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