過日、ある勉強会に顔を出した。リクルートのフェローから東京・杉並区立和田中学校の校長に転じ、大胆な教育改革に取り組んだことで知られる藤原和博氏の講演がお目当てだった。 この日のテーマは「『坂の上の坂』を登るには」。司馬遼太郎さんの名作「坂の上の雲」が描かれた時代に比べ、圧倒的に延びた人生をどう生きていくべきか、一人ひとりに意識改革を促す内容だ。 誰もが同じような生き方を目指し、正解が1つだった20世紀型社会と異なり、成熟社会の今は、みんなで幸せになる成功モデルは終わった。前例踏襲や事なかれ主義は通じない。一人一人が「納得解」を作り上げていくしかない――。こんな論旨が胸にすとんと落ち、後日、さっそく旧知の民主党議員に講演内容を紹介したところ、この議員がため息交じりにこぼした。 「個人の考え方や生き方が多様化するのはもちろん、好ましい。だけど、その分、合意形成を図り、物事を決めていくのが本当に