今回はトハルト先生の講演を翻訳したところでもあり、共和国経済の経済史的評価についてお話ししてみたいと思います。従来、オランダ共和国の経済史的評価は、概して低いかあるいは例外として無視されることが多かったように思います。前者のパターンでは産業革命に失敗した商業資本主義国としてのイメージがありますし、後者としては、たとえ無視まではいかないにせよ、例えば多くの世界史教科書にみられるようにその存在に触れはするものの、産業革命やフランス革命につながるストーリーから外されてしまう収まりの悪さがそれに相当するといえましょう。一七世紀にはイギリスやフランスを凌ぐ繁栄を誇っている反面、工業化は一九世紀も後半まで起こらないというオランダ特有の歴史は実際歴史家を悩ませ、その結果、様々な解釈が生まれてまいりました。はたしてオランダ共和国は、中世的経済の最後を華々しく飾ったあだ花なのでしょうか。それとも新時代を予感
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