スピリチュアルなメロディーとアンデスの楽器をヒップホップのビートと融合させるハビエル・クルス。彼のラップネームであるサラ・クタイは「トウモロコシをひく」という意味だ。クルスは少年時代、両親を手伝い、穀物をひいていたという。(PHOTOGRAPH BY VICTOR ZEA DIAZ) ケチュア語を話す若いミュージシャンたちが、ヒップホップ音楽を自分たちの言語と文化を表現する手段に変えた。 それは2024年、ある晴れた1月の午後のことだった。ここは、ペルー南部のチチカカ湖畔近くにある都市フリアカ。1年前に政府の治安部隊に虐殺された18人のデモ参加者と見物人を追悼するため、先住民のケチュア族とアイマラ族の人々が何千人も広場に集まっていた。そのなかに、黒い上着、つばの広い黒い帽子、黒と金のブーツに身を包み、黒い馬にまたがった男性がいた。その姿は、スペイン帝国に対する反乱を指揮し、アンデス地方にお