見積もりの段階で要求事項や仕様が確定していることはほとんどない。だから,ベンダーがユーザーから完全なRFP(提案依頼書)を提示されることは少ない。 だが「こんな感じの機能(業務)を実現してほしい」というユーザーからの要求に対し,前提条件もなく,見積もりの根拠も提示しないで概算見積もりを提出したプロジェクト・マネージャ(PM)は,私の知る限り,例外なく不採算プロジェクトへと導いている。 なぜ,不採算プロジェクトとなるのか。それはベンダー,ユーザーお互いが,見積もりに明示されていない前提条件を都合よく解釈するからである。 勤務表のシステム開発を例に挙げてみよう。ベンダーは,当月の就業時間の集計処理(バッチ処理)までを実装できればよいと考える。ところが,ユーザーは人件費を計算する基幹システムへの伝送処理までが見積もりに含まれていると解釈する。その結果,開発が終わった後でユーザーは「既存システムへ
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