平野啓一郎さんの文章。佐藤亜紀さんとの揉め事の件についてだけど、歴史修正主義に対するふるまい方を考える上でも考えさせられる文章でした。 2006-09-15 しかし、web2.0的な世界はそうではない。そこで情報は、最早誰のものでもない匿名の言葉となり、匿名の知となって、世界中を駆け巡る。誤った情報を放置しておくと、単にそれが何時までも残り続けるというだけではなく、様々な人の手を経て増幅し、増殖する。クリックされる度に、検索サイトの上位に押し上げられ、コピー&ペイストでブログを行き来し、トラックバックで参照され、論評されたり印象が語られたりしながら、利用者の共通の認識として定着してゆく。 今日にまで至る長い人間の歴史の中では、不当な出来事に「巻き込まれた人間」が取り得る態度として、必ずしも消極的だというわけではなく、恐らくは、賢明であり、かつ有効なものと信じられていた。現実の世界の至る場所