出典:「慰安婦」問題と日本の民主化(岡野八代)(立命館言語文化研究23巻2号 2011年10月) ■目次 1)国民基金とWAMの比較検討 1-1)背景 1-2)国民基金デジタル記念館とWAMとの比較検討 1-3)国民基金の時代錯誤的な政治的効果 2)「慰安婦」問題で問われているのは、日本の民主化である。 本稿は70年代の韓国民主化運動の象徴的存在であった金芝河にまつわるエピソードを引きつつ、元日本軍「慰安婦」制度の被害者が求めているのは、「日本の民主化」である、とする宋連玉さんの主張を引き取りながら、「女性のためのアジア平和国民基金」(以下「国民基金」と表記)をめぐる議論を検証していく。そして、東京で開催された女性国際戦犯法廷から10年がたち、金学順さんのカムアウトから20年を迎えようとするなかで、いまだ解決をみない日本軍性奴隷制度問題によって問われているのは、日本における民主主義それ自体