前回記事で説明したとおり、10月20日の司法省発表において朝鮮人によるものとされた凶悪犯罪は、いずれも実体のない流言に過ぎないか、日本人の犯罪を朝鮮人に転嫁したものか、あるいは殺した朝鮮人を犯罪者に仕立てあげたすり替え事例であった可能性が高い。実際、戦後早い時期に検察側の観点からまとめられた『関東大震災の治安回顧』でも、当時の捜査状況が次のように描写されている[1]。 果して以上述べたが如き鮮人犯罪が実際に行はれたものであらうか。彼等鮮人の総ては犯行当時混乱に乗じて所在不明となり、或は自警団員其の他に依って殺害されて居り、司法事件としては其の真偽が全然確定されて居らぬ状況であった。 然かも東京地方裁判所検事局管内に於ては、震災直後司法警察官の捜査が一時斯種鮮人犯罪の検挙に傾注された観あるに拘らず、被疑事件として同検事局に送致された放火、殺人等の重大犯罪すら、其の大部分が犯罪の嫌疑なきものと
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