今週のお題「おとうさん」 「父の日」は「母の日」よりもずっと存在感が薄い。それはまるで、家庭におけるお母さんとお父さんの存在パワーバランスがそのまま影響しているかのようだ。少年時代の俺の家において、母の日は祝われる日、父の日は忘れられる日、だった。 あの日、父は何を考えていたのだろう 俺はフツウの家庭で育った、と思っていた。しかし、大人になってから子どもが思い描くフツウではなかったことが判明する。父は一度結婚に失敗していて。母は妻子ある人としていた不倫関係が崩壊し、心配した親戚によってセッティングされたお見合いで父と結婚していた。よくある話である。大人になって、なんだフツウの家庭だったんだと再理解した。 母は才女である。高校は地域一番の進学校に通い、そこで学年一位の成績保持者だった。「家にお金があれば大学に行けた」は母の口ぐせだ。しかし、戦争で夫を失い、親戚のいない土地で、女手1つで5人兄