発見と探査の歴史に多くの不運な事故があったことは言うまでもない。たとえばロバート・スコット隊長(南極点到達)、ジョージ・マロリー(エベレスト登頂を目指す)は、文字どおり前人未踏の地への到達に命を捧げた。 宇宙への挑戦も同じことだった。規模や死者数はさまざまだが、これまでにいくつもの災難が起きている。その中には、コンピュータープログラムにおけるたった1つの「ハイフン」の見落としが、莫大な予算をつぎ込んだロケットの打ち上げ失敗を招いた例もある。米航空宇宙局(NASA)の惑星探査機「マリナー1号」の打ち上げ事故だ。 「抜けていたハイフン」の物語は、ナショナル ジオグラフィックの書籍『失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断』(ステファン・ウェイア著)にも取り上げられている。身の回りのあらゆる機器、機械、インフラがコンピューターによって制御されている現代、この失敗は、プログラマーのみならず万人への