1957年にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニク1号はその後の国際政治の展開に大きな影響を及ぼす出来事でした。アメリカ国内ではソ連に宇宙開発で追い抜かれたという危機感が高まり、宇宙関連技術に関する研究と教育への関心が高まるきっかけとなりました。当時の大統領だったアイゼンハワー(Dwight David Eisenhower)も、この世論の高まりを受け、宇宙開発を推進しますが、同時に宇宙開発の軍事利用に歯止めをかける必要があると考え、軍隊とは別の連邦政府の機関として1958年の国家航空宇宙局(National Aeronautics and Space Administration, NASA)を設置しています。マクドゥーガルが1985年に刊行した『天空と地上:宇宙時代の政治史』は、この時期中心に冷戦時代のアメリカの宇宙開発政策の展開を捉えた先駆的な研究です。 McDougall, W. A