未来人 大杉栄の「自叙伝」は、とにかく面白い本だ。 私はこれまでにいろいろな本を人に勧めてきたが、こちらの好みに偏りがあるせいか、相手から「面白かった」という返事を聞いたことはほとんどない。唯一の例外が大杉の自伝で、これを読んだ者は異口同音に「面白かった」「痛快だった」という感想を返してよこす。そして、以後、たいてい大杉栄を好きになり、彼のファンになったりするのである。 大杉栄は、関東大震災のどさくさ紛れに、妻や甥と一緒に憲兵隊で虐殺されたアナーキストである。そういう最期を遂げた男の自伝だから、きっと陰惨な内容の本だろうと思うかもしれない。しかし、それが全く逆なのだ。 彼は軍人の家庭に生まれ、腕白坊主として少年時代を過ごし、陸軍幼年学校に入学している。だが、校内で仲間と決闘をして退学になり、その後、上京して社会主義者になる。政府の弾圧を受けて、刑務所を出たり入ったりしているうちに反権力のス
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