要介護度が低い「要支援」向けサービスの一部が、全国一律の介護保険サービスから市町村が運営する事業に移りつつあります。地域で高齢者を支えて、膨らむ介護費用を抑えるためです。担い手に期待されているのが、地域の住民らのボランティアです。「善意」のボランティアに、介護行政の一端を担ってもらうことはできるのでしょうか? 「地域支援事業」の現実 元看護師の榎尾(えのお)光子さん(64)は手応えを感じた。最高齢のツタエさん(89)は片足立ちが5秒伸びて9秒できたし、レイコさん(76)は、2分間の足踏み運動で8回多くできた。 鳥取県日南町湯河地区。蟬(せみ)しぐれの山の向こうは広島県だ。この日、集会所に9人が集まった。毎週火曜日の午前中に体操したり、おしゃべりしたりする。体力測定は3カ月ぶり。榎尾さんはボランティアの地区代表だ。参加者は多いときで15人。要介護度が低い「要支援」のお年寄り2人も参加する。