ワクチンによる集団免疫の獲得が唯一現実的な方策だ 疫学者が見た新型コロナとワクチン 鈴木貞夫 名古屋市立大学大学院医学研究科教授(公衆衛生学分野) 新型コロナに限らず、感染症パンデミックの終息のためには、集団免疫が重要である。新型コロナ感染症の集団免疫の獲得に必要な住民の抗体保有率は諸説あるが、低くても6割は必要だといわれている。感染の流行地では、地域により非常に高い感染率を示す地区もあり、ブラジルのアマゾンの奥地マナウスでは大流行の結果、66%の抗体保有率を示している。 しかし、高齢化の進んでいる先進国では、感染による集団免疫獲得までに多くの犠牲を払わねばならない。行動制限を緩やかなレベルにとどめ、集団免疫を目指したスウェーデンの現状を見れば、この策は無謀であり受け入れがたい。となれば、ワクチンによる集団免疫の獲得が、唯一現実的な方策といえるだろう。ここでは、新型コロナワクチンの基本的事