―膨らみ続ける医療費の問題に焦点を当てたきっかけは。 「医者は患者のためにベストなことをするのが使命であり、命を救うためならコストは度外視して治療するのが常識だった。金の話をするのは卑しいと教えられた。しかしこれは二つの意味で間違っている。一つには、無駄なコストでも構わない、誰かがなんとかしてくれるという無責任さがあり、もう一つは、何がベストなのか、を考えていない」 「医者は患者の生存期間を延ばすことを第一とするが、生存期間を延ばすことと患者の望む医療とは本来別問題だ。そして医療費だけが膨らんでいく。医者が言う“ベストな治療”とは自己満足に過ぎないのではないか。そのために無制限に金をかける権利が、我々にあるのだろうか」 ―先端医療の拡大に日本の健康保険制度は耐えられますか。 「保険制度を支える人が減り、医療費は高騰する。収支が合わず制度が続くはずがない。どこかで高度な延命医療を受ける制限を