先ごろ、政府が孤独・孤立問題の対策室を内閣官房に設置するというニュースがありました。 コロナ禍での失業などにより、社会的孤立に追いやられ、誰とも接せず、誰にも頼ることができなくなってしまった人たちに救いの手を差し伸べることは大事ですが、こういう話題になるたびに「孤独は健康に悪影響」「孤独は死に至る病」などと、いたずらにその恐怖をあおる「孤独は悪」論が声量を増すことは逆に由々しき問題だと考えます。 2018年にイギリスで孤独担当大臣が設置されたときも、当時、ベストセラーでもあった下重暁子さんの『極上の孤独』本ですら「孤独礼賛する有害な悪書」などと、善悪の二元論に仕立て、まるで中世の魔女狩りのように「孤独そのものを駆逐すべき」という言説をうちたてる論者も見かけられました。 孤独を善悪でわけることは的外れだ 孤独というものを善悪でわけること自体的外れですし、「孤独は誰にとっても絶対的な悪である」