循環器疾患、動脈硬化性疾患の撲滅において、生活習慣の改善、なかでも食事栄養の改善は重要である。現在、食品の栄養表示は栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176条)で義務付けられている。その一つに「3.脂質」があるが、脂肪には多くの種類があり、それらをひとまとめにして総体としての「脂肪」摂取を低減することを目的として「脂質」と表示することには問題があると考える。 摂取脂質総量が動脈硬化性心疾患のリスクを促進しないことは、摂取脂質総量を低下させたランダム化対照比較試験(RCT)のメタアナリシスで冠動脈疾患の減少は得られていないことから示されている。一方、飽和脂肪酸を減少させ多価不飽和脂肪酸を増加させたRCTのメタアナリシスでは血清コレステロール値の低下とともに冠動脈疾患リスクの低下を認めている1)。また、飽和脂肪酸摂取を減らし、多価不飽和脂肪酸に置換した多くの試験で冠動脈疾患リスクの低下が