ブックマーク / blog.livedoor.jp/tokinowasuremono (12)

  • 大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」 第6回 : ギャラリー  ときの忘れもの

    <迷走写真館>一枚の写真に目を凝らす 第6回 (画像をクリックすると拡大します) 毎回、書きだす前はアタマのなかは空っぽだが、今回もおなじだ。 いくら手をつっこんでひっかきまわしても何も出てきそうにない。 おもしろいと思って選んだ写真なのだから、「おもしろい」を成り立たせて要素がひとつだけでなく複数あるはずで、 それが響き合って「おもしろい」を作り上げているのはまちがいないが、それが何かがつかめない。 わたしは犬が好きである。 服を着ていない毛並みを表にさらしたのが好みで、しかも巻き尾で、耳がピンと立っていればなおよい。 ここに写っている彼(彼女か?)はそれらの条件を満たしているが、 だからといって犬がいるからこの写真を選んだわけではない。 それは犬の姿を手で隠してもこの写真が充分におもしろいことからわかる。 気になるのは家である。三軒ある。そこに謎を解く鍵が潜んでいるように思われる。三軒

    大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」 第6回 : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」 第5回 : ギャラリー  ときの忘れもの

    <迷走写真館>一枚の写真に目を凝らす 第5回 (画像をクリックすると拡大します) とてもヘンな写真である。 はじめて見たときからそう感じていたが、たったいま、そのわけがわかった。 ほとんど直線でできた風景なのである。 窓枠と、そこに嵌まったガラスを仕切る桟。 軒下に顔を出している幌の縦縞模様、庇の上に乗っかっている四角い看板。 二等辺三角の屋根、それを縦に区切っているライン。 空に走っている電線とて、例外ではない。 ※こちらのエッセイの続きは 書籍『迷走写真館へようこそ 写真を見るとはどんなこと?』でお楽しみください。 〜〜〜〜 ●紹介作品データ: 武田花 〈道端に光線〉より その3 2007年撮影(2010年プリント) ゼラチンシルバープリント イメージサイズ:22.8x15.1cm シートサイズ:25.4x20.3cm ※フォトエッセイ集『道端に光線』(中央公論新社刊)所収 ■武田花 

    大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」 第5回 : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 無名作家の作品を買い続ける/ヤング・ポートフォリオ展 : ギャラリー  ときの忘れもの

    デモクラートを結成した瑛九の周囲には当時の若い作家たちが多数集まりました。 靉嘔、池田満寿夫、磯辺行久、河原温、細江英公、泉茂、岩宮武二、内間俊子、利根山光人、早川良雄、森啓、山城隆一、吉原英雄、etc., リーダーの瑛九や彼らを支援した久保貞次郎に共通した思いは、芸術をつくる人、それを支える人の共通の場をつくることでした。 小コレクター運動はそういう中で生まれ、展開していきました。 デモクラートに参加した作家たちがコレクターやコレクションについて大きな関心をもっていたことは忘れてはならないでしょう。 作品は蒐集されることにより、新たな解釈が加えられる。あるいはコレクションは第二の創造であるといってもいいでしょう。 デモクラートのメンバーの一人、細江英公先生が館長を務める写真美術館があるのをご存知ですか。 ちょっと交通の便が悪いのが残念なのですが、清里高原の澄んだ大気と深い緑に包まれたロケ

    無名作家の作品を買い続ける/ヤング・ポートフォリオ展 : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」 第4回 : ギャラリー  ときの忘れもの

    <迷走写真館>一枚の写真に目を凝らす 第4回 (画像をクリックすると拡大します) まず目に入るのはアヒルの群れである。 だれに先導されることなく、一群となって、どこかにむかっている。 道はゆるやかな上り坂だ。 アヒルの視線になり、その先を追っていくと、一台の車が道の右手に停まっている。 くすんだ色の小型車で、走りはさほどよくない、かもしれない。 ※こちらのエッセイの続きは 書籍『迷走写真館へようこそ 写真を見るとはどんなこと?』でお楽しみください。 〜〜〜〜 ●紹介作品データ: 鬼海弘雄 〈アナトリア〉シリーズ 「22羽のアヒルと冬の気球(トルコ)」 2009年撮影(2010年プリント) ゼラチンシルバープリント イメージサイズ:29.1x43.6cm シートサイズ:40.5x50.5cm Ed.1/20 裏面にサインあり こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから ■鬼海弘雄 Hir

    大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」 第4回 : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第33回(最終回) E.J.ベロック : ギャラリー  ときの忘れもの

    小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第33回(最終回) E.J.ベロック (図1) E.J.ベロック 「ストーリービル・ポートレート」 1911年頃 ゼラチン・シルバー・プリント (リー・フリードランダーによるプリント、金調色P.O.P.プリント) 20.2x25.2cm リー・フリード・ランダーのサインあり (図2) 「E. J. Bellocq Storyville Portrait:Photographs from the New Orleans Red-Light District, Circa 1912」(1970)カタログ表紙 藤の長椅子の上に、正面を向いて横たわる全裸の女性。(図1)豊かな長い髪やつま先、やや硬い顔の表情など、細部にいたるまで精緻に写し取られ、均整のとれた体の輪郭が、暗い壁を背景にくっきりと浮かび上がっています。画面全体に黒い染みのような痕跡がついてい

    小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第33回(最終回) E.J.ベロック : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第32回 エドワード・スタイケン : ギャラリー  ときの忘れもの

    小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第32回 エドワード・スタイケン (図1) エドワード・スタイケン 「Brancusi, Voulangis, France」 1922年頃(1987年プリント) ゼラチンシルバープリント 33.2x27.0cm Ed.100 裏にプリンターと遺族のサインあり (図2) (図3) 石壁を背に、ネクタイを締めたコート姿で正面を向いた男性。屋外の柔らかい日差しのもとで撮影されているためか、目と口は影の中に隠れていますが、頭をわずかに傾け、静かに鋭い視線を向けています。無造作な頭髪や顎髭、顔の皺が精緻に写し取られているために、背景の壁の質感と重なり合うようにして男性の朴訥とした存在感が引き立てられてもいます。このポートレート写真(図1)は、ルーマニア出身の彫刻家コンスタンティン・ブランクーシ(Constantin Bracusi, 1876-1957)

    小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第32回 エドワード・スタイケン : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 世田谷美術館「エドワード・スタイケン写真展」 : ギャラリー  ときの忘れもの

    2007年パリのジュ・ド・ポームを皮切りに世界各地を巡回してきた「エドワード・スタイケン展」が世田谷美術館で開催されています。 26日のオープニングは井桁裕子さんの「舞踏とひとがたの日」パフォーマンスを重なり、今週はいかなくちゃと思っていたら、遂に亭主もインフルエンザに感染してしまった。 熱は出る、天井はぐるぐる回る、体中の関節は痛む、いやさんざんです。 はやく治して復帰しなければ・・・・ 「エドワード・スタイケン写真展 モダン・エイジの光と影1923−1937」 会期: 2013年1月26日(土)〜4月7日(日) 会場:世田谷美術館 1階展示室 休館日:月曜日 (ただし2月11日(月・祝)は開館、12日(火)は休館) 開館時間:午前10時〜午後6時(入場は閉館の30分前まで) アメリカを代表する写真家であるだけでなく、キューレーターとしても数々の写真展を企画し、写真界の発展に多大な影響を

    世田谷美術館「エドワード・スタイケン写真展」 : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」 第1回 : ギャラリー  ときの忘れもの

    <迷走写真館>一枚の写真に目を凝らす 第1回 (画像をクリックすると拡大します) 岩のむこうには何もない。そのことが気になる。 もし空だとしたら相当な標高なのではないか。それとも霧がかかっていて、むこうにあるものが見えないだけなのだろうか。 下を見たら何が見えるだろうとも考える。そこは谷で細い川が紐のように流れているような気がする。しかしこの連想は写真のどの部分から湧いてくるのだろう。 よく見ると岩場全体が画面の左手にむかって傾いている。 ※こちらのエッセイの続きは 書籍『迷走写真館へようこそ 写真を見るとはどんなこと?』でお楽しみください。 〜〜〜〜 ●紹介作品データ: 村越としや 「福島2012」 2012年撮影(2013年プリント) ゼラチンシルバープリント イメージサイズ:44.0x56.0cm シートサイズ:50.8x61.0cm 裏面にサインあり こちらの作品の見積り請求、在庫

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  • 「生誕100年 松本竣介展」世田谷美術館 : ギャラリー  ときの忘れもの

    「生誕100年 松竣介展」が世田谷美術館で始まりました。 生誕100年を記念し、久しぶりに開催されたこの大回顧展は、岩手県立美術館からスタートした巡回展ですが、昨春の3.11の影響で開催が危ぶまれました。 東北の被災地の美術館企画で中止となった展覧会が多い中で、無事開催されたことは竣介ファンにとっては何より嬉しいことでした。 岩手のあと、神奈川県立近代美術館 葉山、宮城県美術館、島根県立美術館とまわり、このたびの世田谷美術館が最終会場となります。 (会期=2012年11月23日〜2013年1月14日) 11月22日の夕刻、オープニングがあり、常連のお客様を誘い、出席してまいりました。 世田谷美術館にて。 左から九州から上京された田村さん、建築評論の植田実先生、駒井哲郎収集家のS氏こと斉藤さん 開会式に集まった皆さん 開会式の司会はNHK日曜美術館でおなじみの森田美由紀さん 挨拶する世田谷

    「生誕100年 松本竣介展」世田谷美術館 : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第14回ラルフ・スタイナー「自転車」 : ギャラリー  ときの忘れもの

    小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第14回 ラルフ・スタイナー「自転車」 図1 ラルフ・スタイナー Ralph STEINER 「無題(自転車)」 1922年以降 ゼラチンシルバープリント 11.6×9.0cm サインあり 図2 アンドレ・ケルテス パリ 1948 俯瞰する視点からとらえられた広い路面を自転車で横切る人物と、並んで歩く二人の人物。左上の建物の影、右下に映り込んでいる建物とテラスの手摺によって道幅の広さが強調されていて、路面の筋が画角の対角線と重なるようにして画面全体に広がっています。よく晴れた日の昼間に撮影されたのでしょう。地面に落ちている影は短く、自転車に乗っている人の影はあたかも地面を境に反転しているかのようにも見えます。人影も疎らな路上の光景は、ジョルジュ・デ・キリコの作品「街の神秘と憂愁」(1914) を連想させるような、不思議な静けさが漂っています。 以

    小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第14回ラルフ・スタイナー「自転車」 : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第10回ベッティナ・ランス : ギャラリー  ときの忘れもの

    小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第10回 ベッティナ・ランス「SYLVIA AUX LUNETTES, PARIS」 (図1) ベッティナ・ランス Bettina RHEIMS 「SYLVIA AUX LUNETTES, PARIS」 1984年 ゼラチンシルバープリント 61.0x50.2cm Ed.15 サインあり (図2) ピーエル=ルイ・ピアソン(1863−1866) 「カスティリオーネ伯爵夫人」 「眼鏡をかけたシルヴィア」と題されたこの作品は、ベッティナ・ランス (Bettina Rheims, b.1952) が白黒写真を数多く手がけていた、写真家としての活動の初期に制作されたものであり、女性の上半身が左肩を前に四分の三正面でとらえられています。ほっそりとした身体は無地の背景にくっきりと浮かび上がり、乳房は優美な曲線を描き、アップにした髪型も相まって、まるで彫像のよ

    小林美香のエッセイ「写真のバックストーリー」第10回ベッティナ・ランス : ギャラリー  ときの忘れもの
  • 大竹昭子のエッセイ : ギャラリー  ときの忘れもの

    大竹昭子のエッセイ「迷走写真館〜一枚の写真に目を凝らす」第124回 画面右に見えるのは馬、しかも白馬である。 背中にケープのようなものが見えるので、上に人が乗っているのだろう。 なにかの行事で騎馬隊が出動し、パレードをしているのかもしれない。 馬のこちら側は … 続きを読む 大竹昭子のエッセイ「迷走写真館〜一枚の写真に目を凝らす」第123回 橋のたもとに三人の男が立っている。 下には川が流れていて、なにか浮かんでいるが、船よりはひらたく見えるので艀かもしれない。 空模様は快晴ではないけれど、曇ってもいない。 真ん中の男がカーディ … 続きを読む 大竹昭子のエッセイ「迷走写真館〜一枚の写真に目を凝らす」第122回 停泊している船のまわりで子どもたちが水遊びをしている。 深さは大したことはない。 子どもの腰までもないくらいで、水溜まりと呼んだほうがふさわしい。 子どもの頭数はざっと数えて21名

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