「タダ働きがまかり通ってきた業界なんですよ。仕事にはお金が払われる、その当たり前が守られない」 4月から別の仕事につくという、30代の元トラックドライバーが話してくれた。2021年、彼のドライバー時代、休憩中に取材をしたのが縁だが「ついに辞めた」との連絡。 筆者(日野百草、ノンフィクション作家)はトラックステーションや高速のPAにいるトラックより一般道の路肩や桁下にいるトラックに話を聞くことが多い。一概には言えないが経験上、特に労働環境に問題を抱えている場合が多いように思う。 「このままトラックで食べていけるか不安だったんで転職活動してたんです。もうトラックはこりごりですよ」 彼は紆余(うよ)曲折を経てトラックドライバーになったが、勤務先の中堅配送業者はひどいものだったと語る。 「コンプライアンスなんて大手でも守られていないのに、中小が守るわけないですよね。「荷主のために尽くせ」とむちゃな