レモンと一緒に織田家の居間でくつろぐライム(手前)=石川県中能登町黒氏 石川県中能登町黒氏の飼い猫「ライム」は、最近出無精になった。いつも夕食をごちそうしてくれた近所の独り暮らしのおばあさんが、11月末に亡くなったからだ。ライムはそうとは知らずに、得意の甘え声で「ミャアー」と家の前で呼びかけたが、いつまで鳴いても、大好きな焼き魚も、やさしいおばあさんの笑顔も見られなかった。 ライムはちょっと太り気味のオス猫だ。12年前の12月、兄弟のレモンと近くのダイコン畑に捨てられていたところを織田一志(かずし)さん(46)、好子さん(49)夫妻に拾われた。 ライムは気が強く、若いころは近所の猫たちのボスだった。「でも、人間には甘え上手。どうすればエサがもらえるか知っているんです」と好子さん。そんなライムが10年ほど前、織田家の近くに住むおばあさんと仲良くなった。 七尾市でバーを経営する織田夫妻