会社に入って二年経ったくらいの頃、欲しいものはもう一通り買ってしまって、どうにも金が余るんで寄付ばかりしてた時期があって、そのころにフォスター・プランってのに参加したことがある。なにかっていうと、貧しい国の子供達に教育を受けさせるための募金なんだけども、参加するとその子供からお礼の手紙が届くんだ。お礼って言ったら変だな、こう、学校の写真とか、家族の写真とか、学校で習ったこととか、将来の夢とか、そういうのを綴った手紙。でも、まあ要はお礼だよね。ぼくのときはネパールだったけど、ガネシュ君って七歳の子から手紙が来てさ。まあよく出来た手紙でね、最後は「ぼくが一番好きな国は日本です。大人になったら日本で働きたいと思います」で結ばれてたよ。ぼくはもう即効で破り捨ててガスコンロで燃やして、それっきりぱったり寄付をしなくなった。 たいした金額じゃないんだよ、ぼくが寄付したのは。百年続けてやっと日本の大学の