その投手を初めて見た6年前、「こんなピッチャーがプロに行くのだろう」と鮮烈な印象を受けたことを今でもはっきりと思い出す。 投手の名前は岡戸克泰(おかど・かつひろ)という。といっても、ドラフト対象の高校生でも大学生でもない。まだ小学6年生の少年だった。 身長168センチ、体重60キロという小学生としては大きな体で、流れるような投球フォームから投げ込むサウスポーだった。指に掛かったストレートが角度よく低めに決まると、捕手のミットから強い捕球音がこだまする。これは小学6年生のボールではないと驚いたし、さらなる伸びしろも感じさせた。 スタメンは外れたが、9回に代打で試合に出場した聖光学院・岡戸克泰 本人に話を聞いて、もっと驚いた。てっきり有能な指導者に仕込まれたのかと思った投球フォームは、独学で手に入れたものだった。 「テレビでプロ野球を見て、自分の動きと違うところがないか考えながら作りました。参