書評家・作家・専門家が《新刊》をご紹介! 本選びにお役立てください。 (評者:杉江 松恋 / 書評家) 深町秋生は暴力の本質を知る作家だ。 暴力はすべてを燃やし尽くす。被害者だけではない。それを振るう者をもまた消し去るのである。意味を奪い去り、無を生み出す。忌まわしいその力を深町は新作『煉獄の獅子たち』で見事に描ききった。しかも読者に最上の興奮を味わわせる娯楽小説の形で。 物語の中である登場人物が言う。「煉獄ってやつだ。おれは罪を犯した。ここらで清めの火でしっかり焼かれとかねえと、神様の祝福を受けられねえのさ」と。煉獄とは、現世での生を終え、あの世への立ち入りを待つ者が留め置かれる場所であるという。すでに命は無いも同然であるが、まだ死を許されず悶え苦しみ続けている。本書に登場するのは、そうした呪われた人間たちばかりだ。行間から立ちのぼる呻き声に耳を傾けよ。 我妻邦彦がシャブ中のヤクザを逮捕
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