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ブックマーク / garth.cocolog-nifty.com (44)

  • PSH RIP - 映画評論家緊張日記

    フィリップ・シーモア・ホフマンが死んでしまった……なんでこんなことが起こるのだろう? フィリップ・シーモア・ホフマンが。ODで。ショックだった。あまりにも。フィリップ・シーモア・ホフマンは素晴らしい俳優だった。オスカーだって取った。でも、だから悲しいということじゃない。いやそりゃあ優れた俳優が死んだら悲しいけど、そんなことでこんなにショックは受けない。フィリップ・シーモア・ホフマンはぼくの友だった。いつだって、そこにいてくれる人だった。フィリップ・シーモア・ホフマンだけはぼくを裏切らない、とずっと思っていて、そして実際一度たりとも裏切られることはなかった。 ぼくの大嫌いなキャメロン・クロウ監督作品『あの頃ペニーレインと』のフィリップ・シーモア・ホフマンは、彼が演じたさまざまな役の中でぼくがいちばん好きだった役である。そのことについて昔〈ぴあ〉に書いた原稿がある。『シー・ユー・ネクスト・サタ

    PSH RIP - 映画評論家緊張日記
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2014/02/05
    名文。泣いた。
  • 二度とデルタには乗らない - 映画評論家緊張日記

    デルタ・エアラインには羽田深夜発のロサンジェルス便がある。12時半だかに羽田を発つので、寝て起きればアメリカに着いているという。たいへん便利なフライトである。大学の授業を終えたあと、飛び乗るとちょうどいいタイミング。というわけでサンディエゴのコミコンに行くために、そのチケットを取ったのである。 アメリカで会った友人にはさんざんぱら「2012/07/17/needles-found-in-turkey-sandwiches-on-delta-flights/">デルタの機内に釘が入ってたらしい」「オーヴァーブッキングをくらった友達が居るんだけど、その処理があまりに淡々と慣れていて、逆にヤバイんじゃないかと思った」「三、四時間の遅延は当たり前で騒ぎにもならない」とか滅茶苦茶なことを言われて脅かされていたのである。だが行きはなんの問題もなかったし、別に気にしないで帰りの飛行機に向かった。木曜日

    二度とデルタには乗らない - 映画評論家緊張日記
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2012/07/29
    す、すげー! ここまで来ると、不謹慎ながら笑ってしまう。
  • ベスト・オブ・映画欠席裁判 - 映画評論家緊張日記

    洋泉社より出ておりました伝説の映画漫才町山智浩との共著である『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』がついに文庫化されることになりました。題して『ベスト・オブ・映画欠席裁判』(文春文庫 3/4発売予定)。既刊三冊からのベスト集成ですので“よりぬきFBBさん”と覚えてください。今読みかえすと「何もかも懐かしい……」って感じですわ。 この刊行を記念して、ひさびさにLoft+1でイベントもおこないます。題して文藝春秋presents 「帰ってきたファビュラス・バーカー・ボーイズ!」 文春文庫より『ファビュラス・バーカー・ボーイズの映画欠席裁判』文庫版が発売。既刊3冊からのベスト集成は500ページを越える圧倒的なボリューム! 博覧強記の二人による「日最高峰の映画悪口芸」がプラスワンに帰ってきた! 【出演】町山智浩(映画評論家)、柳下毅一郎(特殊翻訳家) 【ゲスト】平山夢明(作家)、三留

    ベスト・オブ・映画欠席裁判 - 映画評論家緊張日記
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2012/02/29
    これは!!
  • 源氏物語 千年の謎 (2011) - 映画評論家緊張日記

    監督:鶴橋康夫 出演:中谷美紀、生田斗真 公式サイト 冒頭、夜の神社を紫式部(中谷美紀)が一人で歩いている。と、向こうから貴族の男が一人あらわれる。顔色を変え、慌てて逃げる紫式部。男は走って追いかけ、十二単のすそを踏んづけて式部をとらえる。花畑でバックから荒々しく紫式部を犯す男。男は言う。「オレは何をやっても許されるのだよ、この世をあまねく照らす光だからな。いつか、おまえの書く男と女の物語を読んでみたいものよ」 その男とは藤原道長、我が世を欠けることなき満月にたとえる男であった。 このオープニングを見ながら、ぼくの心をよぎっていた思いはとうてい筆舌に尽くしがたいのだが、あえて一言にすれば「道長アオカンしない」であった。いや、最近の考古学の進歩で道長は実はアオカンしていたというのが証明されたのかもしれない。ともかく以後、藤原道長(東山紀之)はと言えば「おまえの胸であったまりたいのうウヒヒ」な

    源氏物語 千年の謎 (2011) - 映画評論家緊張日記
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2011/12/30
    「十分で千年の謎は解けた」
  • もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(2011) - 映画評論家緊張日記

    監督:田中誠 出演:前田敦子、峯岸みなみ 公式サイト 「もし蓮實重彦が『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(2011)』を見たら」という評論を書きたくなったがもちろんそんな面倒臭いことはしない。初日に劇場に行ったらガラガラだった。国民的アイドルだというAKB48のファンはどこにいるのだ!? やはり映画入場券の半券でAKB総選挙に投票できるようにするとかしないといけなかったのではなかろうか? その意味で、まだまだこの映画作者たちは顧客のことを考え抜いていないと思わずにはいられない。ちゃんとドラッカーに学んでいるのか? さて、原作自体はどうしようもない一発企画ネタ。映画はいくらか知恵を使っているようではあったが、しょせんは副音声+字幕の寝ていてもわかる方式映画(難病おまけつき)。 映画を見ていて思ったのだが、これ、最大の問題はチームが強くなるプロセスにまった

    もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(2011) - 映画評論家緊張日記
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    FUKAMACHI 2011/06/05
    「もし柳下毅一郎が『もしドラ』の映画版を見たら」
  • 阪急電車(2011) - 映画評論家緊張日記

    監督:三宅喜重 出演:中谷美紀、宮信子、戸田恵梨香 公式サイト 「宝塚~西宮北口間を約15分で走る、えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。その電車に、さまざまな“愛”に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら、偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた」高校時代の三年間、今津線を使って登校しつづけた身としては見ないわけにはいかない……! これ、まず何が凄いって、主要登場人物が八人。アヴァン・タイトルで延々キャラクターの紹介をして、全員紹介し終わるまでに30分もかかる。で、いろいろ悩んでる八人が登場するんだが、気で問題があると思われるのは結婚式直前に彼氏を後輩に奪われたOL(中谷美紀)くらい。あとはミリオタの大学生と野草を取ってうのが趣味の野生派女子大生(谷村美月)なんて、紹介された瞬間に結ばれるとわかるし、彼氏のDVに悩んでる女子大生(戸田恵梨香)の決断は……って延々引っ張ってるんだけど、

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  • 玄牝 (2010) - 映画評論家緊張日記

    朝日新聞10月29日夕刊に河瀬直美監督作品『玄牝』の映画評を書いた。作は愛知にある吉村医院を追いかけたドキュメンタリー。河瀬直美+吉村医院ということで、どんな怖ろしいものができているのかと恐怖に駆られた人も多いのではないか。 吉村医院は自然分娩を標榜し、一部で熱狂的な支持を受けている産院である。その一方で妊婦と胎児を不必要に危険にさらし、周辺の医院に無用な負担をかけている、とする意見もある。以下のような議論を参照していただきたい。信仰と狂気~吉村医院での幸せなお産 その二 見る前は「お産ともなると精神的なものも大きいし、精神ケアとしてはありかな」くらいに考えていたんだが、映画がはじまって五分くらいで「こりゃないわ」と思ったよ。 吉村医師はこんな調子なのだ。 「今のお産が異常なのは、社会が異常だからだよ。江戸時代ぐらいの社会に戻れば、お産の異常なんかなくなる……医者がお産は危険だ危険だって

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  • 恋するナポリタン(2010) - 映画評論家緊張日記

    監督:村谷嘉則 出演:相武紗季、MAKIDAI、塚高史 公式サイト カナザワ映画祭ではシェラ・デ・コブラの呪いをはじめいろいろ楽しかったのだが、いちばん強烈だったのは30年ぶりくらいに見た霊的爆音上映『スクワーム』だったかもしれない。で、『スクワーム』を見てるあいだじゅう、思い出していたのがこの映画のことだ! この予告編を見せられては見に行かないわけにはいくまい。しかも予告編を見ただけではなんの映画かさっぱりわからないというおまけつき。それとなく情報を集めるとなんか「相武紗季は事故で恋人を殺してしまった加害者と恋に落ちる」とかって話だという。つまり『乱れ雲』みたいなの? MAKIDAI=加山雄三? と思ってたらさらに実はマクロビ映画だともいう。なんだそれ意味不……と思いながら見に行ったよ。ちなみに前売りはチケット屋で700円だったが新宿では250円で売ってるところもあったらしい! ナポリ

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  • ナイト・トーキョー・デイ(2009) - 映画評論家緊張日記

    監督・脚:イザベル・コイシュ 出演:菊地凛子、お塩さん  公式サイト The Map of the sound of Tokyoというタイトルで去年のカンヌ映画祭に出品された菊地凛子主演作。それだけなら良かったんだけど、出演者の中に約一名問題のある人がいたんで、一年以上にわたりお塩づけにされてました。その方の出番をカットとして、ようやく公開にこぎつけた。これ、当時からオレは注目してました。なんでって…? 築地市場で働く凛子は、ある日、録音技師をしている老人(田中泯)とラーメン博物館で出会う。「きみがラーメンをすする音を録らせてもらえないか…ぼくの母がラーメンをすするときの音に似ているんだ」 そんなクールな凛子には、実は裏の顔があった。狙ったターゲットは必殺必中の殺し屋である。だがそのターゲットに出会ったとき… というわけで女体盛り!築地魚市場!ラーメン博物館!イメクラ!と外国人が好きな日

    ナイト・トーキョー・デイ(2009) - 映画評論家緊張日記
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    FUKAMACHI 2010/09/11
    これはすごひどい。
  • 食堂かたつむり (2010) - 映画評論家緊張日記

    監督:富永まい 出演:柴咲コウ 公式サイト 見ながら思ったんだけど、この映画の柴咲コウって森ガールじゃない? ぞろっとした麻の服かなんか自作してて、すっぴんでソバカス散らして、髪を枝でまとめてる。これ森だよね? メディア的には森ガールと言えば蒼井優になってるみたいだけど、実は柴咲コウこそが中身も含めて真の森ガールではないかという気がしている。柴咲コウの心の中には蒼たる森林が広がっているのではなかろうか。 で、この映画だが、柴咲コウが営業する「べると幸せになる」かたつむり堂のリアリティを突っ込んでもしょうがない。「材はどこで入手してるんだ?」とか「一日一組、高校生の客だけで採算とれるのか?」とか「『甘鯛と帆立のカルパッチョ』作るのはいいけど、残った材はどうするんだ? 豚の餌か?」とか「柴咲コウ、その手つきは丁寧に作ってるっていうより単に手際の悪い人みたいだ。だいたい一皿出して、お客

    食堂かたつむり (2010) - 映画評論家緊張日記
  • サヨナライツカ (2009) - 映画評論家緊張日記

    監督・脚:イ・ジェハン 出演:中山美穂、西島秀俊 原作:辻仁成 航空会社のエリートサラリーマン、西島秀俊は東南アジアの航路を開拓すべくバンコクを訪れた。同僚のマギー(って誰ですかこの人)がもよおしてくれた歓迎会にはなぜか美人を呼んでいるという。「もうノーブラで乳首なんかたっちゃってこんな!」とマギーが力説するミステリアスなノーブラ美女、それが真中杳子(中山美穂)であった。 西島くんはパンナムとの航空会社対抗草野球に出場する。ちなみに「新聞見ました? アメリカがヴェトナムに負けたんですよ」なんてセリフがあることから(まあそんな無理矢理なセリフを入れないと時代がわからないというところにそもそもの……)1975年の物語と思われる。パンナムは世界の空を支配する巨人で、西島くんの勤める日の航空会社はその牙城に切り込まんとしてるわけ。「好・青・年! 好・青・年!」のコールを受けてバッターボックスに

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  • 僕の初恋をキミに捧ぐ (2009): 映画評論家緊張日記

    監督:新城毅彦 出演:井上真央、岡田将生 主題歌:平井堅 公式サイト 監督は『ただ、君を愛してる』とか『Life 天国で君に逢えたら』とか難病映画で人を殺しまくってるティア・マイスター。殺した男女は五万人、サバ言うなこのヤロー!いやだが今度はただの難病映画と思ったらおおまちがいだ! 映画がはじまるといきなり病院のベッドの上でお医者さんごっこをしている小学生の男女。女の子が男の子の胸に聴診器を当てて 「うーん。心臓がすごく早いですね。精密検査が必要です。じゃあズボンを脱いで下さい。パンツも脱いで」 「えっ!」 「何を言ってるんですか。わたしは専門家だから大丈夫です。さあ早くパンツ脱ぎなさい。パンツ脱げ-!」 と少年に襲いかかってパンツを脱がそうとするようじょ。ほうほうのていで逃げ出した少年は両親を探しに行く。と、両親は医師の仲村トオル(変態幼女の父)から病状告知を受けている真っ最中であった。

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  • 映画芸術フェア@ジュンク堂新宿店 - 映画評論家緊張日記

    ジュンク堂池袋店ではじまった映画芸術+nobodyのフェアだが、場所が変わって今度はジュンク堂新宿店。色紙も運ばれてきた。 おや? なんか一枚色紙に書かれている文字が変わっているような? こういうのなんていうんだっけ? キジも鳴かずば撃たれまい、だっけ? まあトラックバックも送ってこないようなものは無視しようと思っていたのだが、コメント欄でも書かれているので、一応返答しておく。第二次惑星開発委員会NEWSでは 「オレの中にある悪意はルサンチマンという言葉で表現されるものとはちょっと違うと思うな。」 …そうかなぁ? ------------------------------------- 6/2(水) わかったよ、オレは。要するに正義は向こう(行定&柴咲)にあるんだ。あいつらが世間というものであり、あいつらが正しいのが世の中というものなんだ。そして『世界の中心で、愛を叫ぶ』連中を見た瞬間に

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    FUKAMACHI 2009/06/11
    これは!
  • ルサンチマン中年:映画評論家緊張日記

    ジュンク堂池袋店でnobodyと映芸の共同ブックフェアをやっているのだが、宇野常寛に色紙でディスられてるって風の噂に聞いたもんで覗いてきた。 宇野氏の色紙には 「秘■のルサンチマン中年を皆■せ!」 と書いてある(■は元の色紙で潰してあったので、人が伏せ字にしたものと思われる)。「ルサンチマン中年」ってなんのことだ? なんにせよ、宇野氏はこれが〈映画芸術〉との共同企画だということを忘れてるんじゃないか? 誰がどう見たって映画界でいちばん「ルサンチマン中年」な人がすぐ上にいるんだが。 もっと笑ったのは中原昌也の色紙が一緒に並んでいることである。 で、何を言っているのかちっともわからなかったんだが、近所の屋でPLANETSの六号を立ち読みしてやっと色紙の意味がわかった。中に「PLANETS Selection Special 惑星開発会議」という座談会があり、森直人、前田智也、福田彩乃、宇野

    ルサンチマン中年:映画評論家緊張日記
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    FUKAMACHI 2009/06/03
    なんだかトンチみたいな話。
  • GOEMON (2009) - 映画評論家緊張日記

    監督・脚・撮影監督・編集・出演:紀里谷和明 出演:江口洋介とCGのみなさん 5/1公開 オレにコピー書かせてくれたら「ついにPS2を超えた驚異の新世代映像!」とか「これは『GOEMON』ではない、GOUMONだ!」とかいろいろいいのを考えてあげたんだが。まさか『CASSHERN』よりもつまらない映画を作ってくるとは思わなかった。「キリキリ、おまえに底はあるのか!?」 「ぱんどらのはこ」の意味が違わねえか?とか、いまどきゲームでもあの草原はねーよとか、CGの人間が走ってるのを真横から撮るのやめようよ、ハイパーオリンピックじゃないんだから!とか、広末、光あてすぎて顔の凹凸がなくなってるよ!とかいろいろあるわけですが、いちばん言いたいのはね、キリキリ、飛び上がった人間が月にかかるのってやめようよ。それ格好いいと思ってるみたいだけど、ダサイから! 『E.T.』のときだってダサイものだったんだから

    GOEMON (2009) - 映画評論家緊張日記
  • レインフォール/雨の牙 (2009) - 映画評論家緊張日記

    監督・脚・擬闘:マックス・マニックス 出演:椎名桔平、長谷川京子、ゲイリー・オールドマン 公式サイト いやーこれはすごい。ぼくもいろいろすごいものを見てきたが、ひょっとしたらこれは今年ナンバー1かもしれない。それくらいすごい。どのくらいすごいかというと…… ……とやかくあって、ジャズ・ピアニストの長谷川京子のコンサートに元秘密工作員の事件屋椎名桔平が訪れる。休憩時間に「実はオレはジャズ雑誌の編集者なのだが、取材させてもらえるか」と持ちかけると、ハセキョーは「えー? ハンサムな人?」などとウキウキで迎える。実はこのとき、三週間前にハセキョーの父(国交省の高級官僚)は通勤中に突然心臓発作を起こして死に、この前日には家に何者かが侵入してハセキョーの妹は射殺されているのである。そうした状況でライブやってるハセキョーってなんなの!? で、会うとキッペーはいきなり 「きみは命を狙われている、オレを信

    レインフォール/雨の牙 (2009) - 映画評論家緊張日記
  • ウォッチメン(2009) - 映画評論家緊張日記

    朝日新聞の映画評を再録。 アメリカはヒーローの国である。悪をくじき、正義を執行するヒーローこそがアメリカの美しき理想だ。だが、その正義とはなんだろう? 「ウォッチメン」はアメリカン・コミックを原作とするヒーロー映画である。ただし「ウォッチメン」とはスーパーマンやバットマンのようなヒーローの名前ではない。タイトルはローマの風刺作家ユウェナリスの警句から取られている。すなわち「見張り番(ウォッチメン)を見張るのは誰か?」ヒーローは当に正しいのか? 舞台は現代とよく似た異世界。その世界にはかつて悪と戦うヒーローたちがいた。だが、超法規的な犯罪者退治を禁じる法律ができたため、彼らの活動は禁じられる。ある者は政府の紐付きで秘密工作員となり、ある者は身分を隠したまま引退する。あるいは法律を無視して非合法の自警活動を続ける者もいる。そんなヒーローの一人、ロールシャッハは一人の男の死に疑問を抱いて調査を

    ウォッチメン(2009) - 映画評論家緊張日記
  • ヘアピン・サーカス (1972) - 映画評論家緊張日記

    監督:西村潔 シネマヴェーラ渋谷にて。『弾痕』がプリント不良で『薔薇の標的』に差し替えになってしまったので、はからずも封切り時の二立てが再現されることに。岡田英次がナチス第四帝国復活を願って加山雄三を殺し屋としてスカウトするという『薔薇の標的』も十分凄い映画だが、やはりここは『ヘアピン・サーカス』。 自動車教習所の教官をつとめている元花形レーサーが、走り屋の小娘との出会いによってついにハンドルを握る……というシンプルなストーリー。主役を演じるのは物の元レーサーだし、芝居らしい芝居もなく見せ場はほぼすべてカーレースなのだがもうこれが! 昔の映画を見ると「どうやったらこんな撮影ができるんだろう?」と思わされることがよくあるが、『ヘアピン・サーカス』も例外ではない。高速で車のあいだをぶんぶん抜いていくタイトル・バックにもう息を呑んでいたが、クライマックスでは横浜市内でカーチェイス、どうやった

    ヘアピン・サーカス (1972) - 映画評論家緊張日記
  • ナ・ホンジン・インタビュー - 映画評論家緊張日記

    韓国映画『チェイサー』の監督ナ・ホンジンが来日したので取材に。『チェイサー』は2004年ごろ韓国でデリヘル嬢や富豪を20人以上殺害した連続殺人鬼柳永哲事件をモチーフにしているので、これはもう当然オレたちの出番だろう!と洋泉社の田野辺くんらとでかけたわけである。クロックワークス社は現代アートのギャラリーみたいなところだった。 ナ・ホンジン自身はあまり表情の変わらない人で、こちらの質問に対して淡々と答えていく感じなので、質問しながら(あー盛り上がらないな~今回のインタビュー失敗だったな~)などと考えていたのだが、途中、田野辺くんが発した質問(柳永哲の人肉疑惑について)を期に空気が一変。インタビュー終了後には「おまえらすげえぜ! 一緒に写真撮ろう!」と監督の方から記念撮影を頼まれてしまった。田野辺くんの和ませ力は最強。 インタビューは「映画秘宝」と4月発売のMurder Watcher次号に掲

    ナ・ホンジン・インタビュー - 映画評論家緊張日記
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2009/02/27
    さすが田野辺さん。
  • 闘う時評 - 映画評論家緊張日記

    ブクマコメントでも指摘されてるんだけど、昨日の飲み会で『週刊新潮』のコラムで福田和也が『旭山動物園』を絶賛していると聞き、思わず買ってきてしまった。 いや、福田和也が政治で人を褒めることはあるのわかってるんだけど、津川雅彦を「現役最高」とまで書いて、どういう政治的利得があるというんだ!? しかもルビッチやヒッチコックを引き合いに出してまで! ちなみに福田は「どんな監督だって、ルビッチであれ、ワイルダーであれ、ヒッチコックであれ、なかなかデビューから三作連続して傑作を世に問えるものでありません」とか書いてるわけだが、あんた、ルビッチの監督第三作って見てるの? たぶん1915年の短編一巻ものだと思われるわけですが(もちろん、ぼくは観ていません)。 「マキノ作品は、ファーストシーンが凝っていますが、今回も意表をつかれました。チリトリに死んだカブト虫を寄せていって、生きている一匹を押し入れに投げ入

    闘う時評 - 映画評論家緊張日記
    FUKAMACHI
    FUKAMACHI 2009/02/22