刀剣を用いる武道をたしなんでいる方でしたら、刀にとって柄前が如何に重要か?ということは、経験的にご理解頂けるでしょう。 例え、刀身に性能上の欠点があったとしても、柄前の良し悪しで、ある程度機能を補うことができます。これは、刀身と使用者を唯一繋ぐ装置が柄前であるということからも、武道を経験されていない方でもある程度ご理解頂けると思います。解り易く表現するならば、柄前を装着していない状態で刀剣を使用することは考えられず、手の内で感じる刀の使用感というものは、全て柄からきていると言っても過言ではありません。 昨今、刀身の科学的研究に没頭する愛好家(私を含めて)が増えていますが、日本刀は総合芸術品であり、武器としての性能という面だけで見るならば、刀身のみを研究しても何ら理解できるものではありません。もっと言うと、武器としての刀剣は、刀身のみで性能を発揮するものではなく、拵えを着た状態ですら完全では