ペロシ米下院議長の台湾訪問によって米中関係に緊張が高まっているが、国際社会は激動だ。50年前の「ニクソン・ショック」で米中の急接近に意表を突かれた日本は、その苦い経験から教訓を学ぶ必要がある。 8月1日のシンガポールを皮切りに、マレーシア、台湾、韓国、そして我国を訪問した4泊5日のナンシー・ペロシ米下院議長による「突風」のような歴訪が終わった。ハイライトである台湾訪問をめぐって、我国のメディアでも「習近平政権への痛撃」から「習政権の権力強化に追い風」まで、あるいは「台湾の人々の心に響いた」との大賞賛から「政治家として個人的なレガシー作りにすぎない」との冷笑気味の評価まで、じつに幅広い見解が喧々囂々と展開されている。