カキを食べてあたった(カキを食べて、発熱、吐き気、嘔吐、下痢などの 食中毒様症状を呈する)経験をお持ちの方もおられると思います。これは、多くの場合、ノロウイルスと呼ばれるウイルスが含まれるカキをウイルスを死滅させない(生で食べたり、加熱不足で食べる)まま、食べることによって起こります。その一方で、 「カキを生で食べてもあたったことがない」という方もおられるかも知れません。また、毎年冬季に、カキを原因食品とする食中毒が発生しますが、同じように調理したカキを食べても、食中毒になる人とならない人がいます。 このように、「カキを食べてあたる人、あたらない人」がいるという不思議な疫学的事実は昔から知られていましたが、その理由については長い間よく分かっていませんでした。しかし、 最近その理由が徐々に解明されつつあります。ここでは、そのことについて紹介します。 1 レセプターとしての組織・血液型抗原