岸田文雄首相は在任中、「経済あっての財政」と強調し、財政再建よりも経済の立て直しを優先した。2023年秋の臨時国会では「経済、経済、経済」と連呼。就任前こそ財政規律派と目されていたが、実際には歳出の大盤振る舞いが常態化した。財政の健全化は見通せない。 公債への依存度は高止まり 税収は企業の好業績や物価上昇を背景に、23年度まで4年連続で過去最高を更新した。この間、歳出面では新型コロナウイルス禍や物価高に対応するため巨額の財政を出動。財政のたがは外れたまま戻っておらず、公債(借金)への依存度は3割程度で高止まりしている。 経済対策の裏付けとなる補正予算の一般会計歳出は、第2次安倍政権下でおおむね2兆~5兆円規模。コロナ禍の影響が深刻化する中で菅義偉氏が政権を引き継いだ20年度は計約73兆円だった。岸田政権に代わった…