この記事の目的は表現の自由に関して以下の3点を主張することである。 【要点1】憲法学的には「表現の自由」というときの「自由」に〈倫理的に許される〉という含意はない。 【要点2】法に触れないとしても倫理的に許されない表現はある。 【要点3】「この表現も表現の自由の対象に含まれる」という主張はその表現への(倫理的な観点からの)批判に対する妥当な反論にはならない。 ※ 参考文献は記事の最後に示し、本文では著者名・刊行年・ページのみを括弧に入れて表記する。 Ⅰ.「表現の自由」というときの「自由」の意味 表現の自由とは何だろうか。『法律学小辞典』(有斐閣)では次のように説明されている。 言論や文書による思想表明の自由のほか、広く映画・テレビ・ラジオ・演劇などの自由や集団示威運動〔デモなど〕の自由など、個人が外部に向かってその思想・主張・意思・感情などを表現する自由のこと。憲法21条はこれら「一切の表
![「表現の自由」は表現への批判を退ける切り札ではない|まるがお|note](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7d83f3c19d0f56f19e0af14b3a82fa35d904df84/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F66330308%2Frectangle_large_type_2_7389d591a2145b846b20614a5e1d5223.png%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)