やり直そう。本格的にそう決意したのは今から二年ほど前のことだ。 経緯については伏せよう。ライトノベル作家として商業デビューしてからの数年、良いこともあったし悪いこともあった。勉強になったこともあれば今でも納得できていないこともあり、感謝もあれば恨みもある。事細かく書いていくと長くなるし、重要なのは過去ではなく、これからにあると考えているからだ。 とはいえ今や出版不況である。ライトノベルも例外ではなく、右を見れば先輩、後輩、デビューして間もない新人作家が阿鼻叫喚の悲鳴をあげ、SNSでは出版社や編集者に対する罵詈雑言や失望、あるいはライトノベルを読まなくなった人類(クソでか主語)を糾弾する言葉が流れてくる。同期の作家は失業し再就職の面接を受けにファミレスへ走り、私もまた日々死んだ魚の目をしてライトノベルのラの字もない肉体労働に勤しむ。嗚呼、この世に希望はないのか。……残念ながらそんなものはどこ