「はじめて彼女と会ったのは私が17歳の時、十両昇進のお祝いの席でした。再会のきっかけは、今年届いた彼女からの手紙です」。宮沢りえとの破局、河野景子との離婚を経て、大横綱が選んだ生涯最後の伴侶は……。 眼前には、咲き誇る3本の枝垂れ桜が、潮風に揺れていた。横浜港に臨み、約100年の歴史を持つ「ホテルニューグランド」。その1階にあるカフェを待ち合わせ場所にしたのには、特別な理由があった。 道路を挟んだ先に広がる山下公園は、十代だった2人が密かに逢瀬を重ねた、最も思い出深い場所。海沿いのベンチに腰掛け、時間を忘れて2人の将来を語り合った。濃密で幸せなひと時だった。 あれから互いに別々の道を歩み、30年余の歳月が流れた。五十路を過ぎた2人が、横浜の地で劇的な再会を果たしたのは、今年春のことである。