全てを失い、全てに絶望した者たちが辿り着く場所。 それがここ、鉛街(なまりまち)。 十九歳の六月、僕もそこにやって来た。 鉛街には夢も希望もない。 あるのは......ただ、無表情で歩く人々と、無数に聳え立つ高層ビル、そして......無限に続く鉛色の空。 その街の廃ビルで、僕は一人の少女と出会った。 猫のような、鴉のようなその少女。 身寄りも戸籍もない、その少女。 彼女は夜に怯え、運命に嘆き、自分以外の全てを嫌いながらも、気高く、強く生き続けていた。 まだ見ぬ明日に、多くの不安と、ほんの少しの期待を抱きながら。 「私だって生きているんだ!!」 ───これは『弱者を捨てて、前進し続ける』時代に向けて謳った、彼女の物語。 プレイ時間二、三時間ほどのビジュアルノベルです。 映画のような作りとなっています。 ゲームをやり終えたときに、少しだけ「生きること」の意味を考えてくれたならば幸いです。 ゲ