前日の大雨がうそのように、透き通るような冬の青空が広がっていた。 3月10日、岩手県大槌(おおつち)町。 のんは海を望む歩道で、ふと足を止めた。すぐ横のくぼ地の方を、じっと見つめる。冷たい風に揺れる髪が、時折白い頬をくすぐっても、気にする様子もない。 視線の先には、宙に伸びた2本のレール。ポツリと言った。 「つながるんですね。もうすぐ」。 反対方向には、更地をまっすぐ貫くように、すでにレールが延びている。 2011年3月の東日本大震災で、この地を走っていたJR山田線は津波で甚大な被害を受けた。 ずたずたになったその路線の復旧工事が、着々と進んでいる。来年の3月までには、運行停止中の宮古~釜石間が開通するという。 それと同時に、その区間はJRから三陸鉄道に移管される。のんと縁深い"三鉄"は、これまで山田線を挟んで、北リアス線、南リアス線に分かれて運行していた。それが史上初めて、三陸を縦につな