驚異の工匠たち―知られざる建築の博物誌作者: バーナード・ルドフスキー,渡辺武信出版社/メーカー: 鹿島出版会発売日: 1981/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るI.バーナード・ルドフスキーは、1964年のMOMAでの展覧会とそのカタログ『建築家なしの建築』によって、ヴァナキュラーという概念を世に知らしめた。その13年後に発表された『驚異の工匠たち』はヴァナキュラー建築を系統的に分析した大著である。洞窟、動物の建築、古代モニュメント、移動建築などの切り口で、豊富な図面と共に描かれるヴァナキュラー建築は生き生きとして見飽きることがない。 ところで、「ヴァナキュラー」とは、いったい何であろうか。識者によると、近代におけるヴァナキュラーの概念は建築分野からはじまったという*1。ルドフスキーは、まさにヴァナキュラーの生みの親、というわけだ。しかし、日本語でしばしば「風土
1. 序(岡崎京子『水の中の小さな太陽』1994年2月)お父さん どうしてこの家には へんな出窓が あるの?ヨーロッパの家でも ないのに 合板の2×4(ツーバイフォー)の家なのに窓から見えるのは お花畑じゃなくて うるさい小田急線 の線路だけなのに*1バブルの崩壊が体感されるようになった90年代の中盤、岡崎京子は深い喪失感に駆られる女子高生ミーナの物語を描いた。彼女が住む家が、「へんな出窓のある...合板の2×4の家」であったのは必然だろう。2×4の家は、高度成長期以後の都市の形象である。消費社会の研究家である三浦展は、1980年代後半からのピリオドを「日本のどこでも同じようなツーバイフォーの家が建つようになる時代*2」と呼んでいる。 2. 統計/歴史2×4には数量的インパクトはない。2×4の住宅は1990年にやっと年間5万戸を達成、全住宅に占める割合が3%に達した。耐震性が認知され、全国
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