政府が16日、福島第1原発の「冷温停止状態」を宣言し、今後は大規模な除染や原子炉の廃炉に向けた動きが本格化する。廃炉完了まで30年以上かかるとみられる中、どこまで費用が膨張するか予測できず、東京電力の経営環境は一段と厳しさを増しそうだ。政府は東電に公的資本を注入する方向で調整に入っており、東電の経営問題は年明けから春にかけて山場に差し掛かる。【立山清也】 「廃炉に必要な費用の全体像が見えない。30〜40年先までの費用負担なんて想像もつかない」。東電幹部の一人は語る。圧力容器から崩れ落ちた燃料をどう回収するのかといった処理方法すら明確に示せない中、「地球上で誰もやったことのない作業」(電気事業連合会幹部)の費用をどう負担していくのか。東電社内には重い空気が漂っている。 すでに原発停止に伴う年間1兆円の燃料コスト増が東電の経営を圧迫している。政府の第三者委員会の試算では、1〜4号機の廃炉費