半ば飽きれ驚きながらも、ほっとした気持ちで、私はセールスマン氏より200米ドルの釣銭と、売買契約書、車の鍵を受け取った。ここは、米カリフォルニア州パロアルト郊外の中古車ディーラーの殺風景なオフィスである。そこには顧客用に置かれた安物の台と椅子があり、部屋の奥には、波打ったスリガラスが中央に入った執務室のドアが見える。セールスマン氏は、書類を取りにあるいは上司との相談にと、しばしばその扉の奥に消えていた。契約が成立して彼は愛想の良い笑みを浮かべている。一方で我々は口をぎゅっと結んで渋面を作っていた。「この野郎」。 新聞で掘り出し物発見 私の留学先は、米Stanford Universityでパロアルトにある。サンフランシスコから南に約50kmにある学園都市に1977年9月2日に着いた。「広いなー」。サンフランシスコ空港に降り立った私の米国第一印象である。米国はなにせ広く、何をやるにもしても車
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