筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療薬開発につながる物質を、患者から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って世界で初めて確認したと、京都大iPS細胞研究所の井上治久准教授(神経内科)らが発表した。「アナカルジン酸」という物質で、神経の異常を改善する働きがあるという。米科学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」電子版に1日掲載された。 ALSは脳の指令を筋肉に伝える神経細胞(運動ニューロン)に異常が生じ、徐々に全身の筋肉が動かなくなる難病。国内の患者は約8500人とされ、有効な治療法がない。 研究グループはALS患者のiPS細胞から分化した運動ニューロンの性質を調べた。その結果、信号を伝える神経突起の長さが正常な場合の約半分しかなく、細胞質に「TDP−43」という特殊なたんぱく質が凝集するなど、実際の病理組織と同じ特徴が観察された。このたんぱく質が増えると、神経細胞の形成に
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