1984年に公開された映画『風の谷のナウシカ』。 2019年12月には歌舞伎上演もされ、長く愛されている作品であるのはご存知の通り。 文明の破壊と再生、自然への畏怖と敬意、戦争の批判と共生への道を探す物語構造など、後年の『もののけ姫』にもある宮崎駿監督の作家の“原点”が表れている作品。 何度観ても新しい発見がある奥深さがあるのは、言うまでもないことでしょう。 ここでは、宮崎駿監督作品の中でも特異と言える製作過程を振り返りながら、『風の谷のナウシカ』で何を描こうとしていたのかを、少しだけ紐解いてみます。 1:“マンガにしか描けないもの”を宮崎駿は目指していた? まず、アニメ映画『風の谷のナウシカ』には原作とされているマンガ版があります。このマンガ版は休載期間を挟みながら14年という歳月、映画の公開から数えれば11年後にやっと完結した作品であり、映画で描かれているのはマンガ版の2巻の途中までな