日曜日の白昼の出来事だった。「パン」と1発の銃声。大勢の買い物客が音のした方を振り返った。「撃ったな!」。首筋から入れ墨をのぞかせた金髪の男(25)=公務執行妨害罪などで起訴=はそう叫び、周囲の警察官にその場に組み伏せられた。大阪・京橋の繁華街で2月に起きた公務執行妨害事件の一幕。職務質問を受けた男が刃物を取り出し、警察官から発砲を受けた。男は右太ももを撃たれ、銃弾は貫通したが、全治2週間の軽傷だった。跳弾によるけが人もなく、大阪府警は適切な拳銃使用だったとみている。銃社会の米国やドラマの世界とは違って、現実の発砲までには、実に多数の手続き要件を踏まなければならない。緊迫した状況下、現場ではどんなやり取りがあったのか-。 不審事由「殺すぞ、任意やろ!」 2月18日正午前、大阪市都島区のJR京橋駅近くの路上で、男が声を荒らげた。 男は、都島署の男性巡査長(38)から職務質問を受けていた。体の